凡典堂

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【古書】平凡

平凡

作品紹介

日本近代文学の幕開け「浮雲」で有名な二葉亭四迷最後の作品。

日々の暮らしを翻訳の内職で食いつなぐ主人公の私は、今年39になり、いよいよ老い込んできたと見える。 少し暇だとすぐに昔を思い出して、内職も手に付かないでいると、ついに賃金が途絶えてしまう。

「これはもう書くしかない。」

かつて文士として名の通った私は一念発起して原稿に取り掛かる。 さて、題はなんとしよう?思案の末、題は平凡!平凡な者が平凡な筆で平凡な半生を叙するのだから間違いない。 では、書き方は?近頃は自然主義が流行っている。作者の経験したところを有りのままにだらだらと牛の涎のように書くのが流行るようだ。

私の少年時代、上京、文士としての半生を書いていく。

 漂う"なげやり感"

全体からなんとも言えないなげやりな感じが伝わってきます。本の最後に付いている解説には「思い切って自分を投げ出した」作品と評されていますが、まさに言い得て妙です。

さらに、それに輪をかけるようにして、「今日は書くことがないからいたずら書きをしよう」等とふざけた感じが加わってかなり自由度が高く、途中、これちゃんと終わるのだろうかと思いました。

 文心即淫心

国語の授業ではきっと教えてくれないでしょう。高尚な文学も一皮向いてしまえばこういう真実も隠されているのです。しかし先生、それは言ってはいけません。

それをきっぱり言い切ってしまうあたり潔いというか、なげやりというか、名言と言えば名言となるのかもしれません。

 反省の一冊

初めて読むと、このようにふざけた点が目立ってしまいますが、後の解説を読むとどうにも、全く見方が変わってしまいます。

ふざけていたものが、旧に考え深く思われて、あらゆる点で反省が促される1冊です。